国語・古典(秋田県公立高校入試問題)
次の文章を読んで、1〜6の問いに答えなさい。
むかし、男ありけり。身はいやしながら、母な(天皇の娘)む宮なりける。その母、長岡といふ所にすみたまひけり。子は京に宮仕へしければa、まうづとしけれど、しばしば(参 上 で き な い)えまうでず。ひとつ子にさへありければ、いとbかなしうしたまひけり。さるに、十二月ばかりに、( 急 な )とみのこととて御文あり。おどろきてc見れば歌あり。
老いぬれ(避けられない)ばさらぬ別れのありといへばいよいよ見まくほしき君かな
かの子、いたdううち泣きてよめる。
世の中にさらぬ別れのなくもがなち よ千代もといのる人の子のため
(『伊勢物語』による)
1 すみたまひけり を現代かなづかいに直し、すべてひらがなで書きなさい。
2 身はいやしながら の意味として適切なものを次から一つ選んで記号を書きなさい。
ア 官位は低いが イ 欲は深いのだが
ウ 体は休めたが エ 生活は質素だが
3 文中のa〜dのうち、主語が他の三つと異なるものを選んで記号を書きなさい。
4 ばかり の文中でのはたらきとして適切なものを次から一つ選んで記号を書きなさい。
ア 特定の条件を表す イ 対象の限定を表す
ウ 事態の直後を表す エ 大体の範囲を表す
5 「老いぬれば…」の和歌に込められた気持ちとして適切なものを次から一つ選んで記号を書きなさい。
ア 息子が会いに来てくれないのがなげかわしい
イ 年老いたのでわが子と自分の家で暮らしたい
6 千代もといのる とあるが、だれの何をいのるのか、現代語で書きなさい。