国語・古典(福島県公立高校入試問題)
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
雀の子をひそふして飼ひたるに、よべばいづくに行きても、その声に従ひて来るなり。いづくにいても我が姿を見しりて肩にとまるに、雀ながらも1 よふなじむにかわゆふおぼえしが、ゆふし鼠にとられたれば、けふはよべど来ず。まことに、ふびんさに涙のこぼるるといふ人、もつともの事なり。余も、むかし十の時に雀を飼ひて今の様になじみしに、鳶のためにとられしより 2その後は飼はぬなり。
(柳沢淇園「ひとりね」より)
1 「来ず」とあるが、来ないのは何か。この箇所より前の本文(文語文)中の語をそのまま書き抜いて答えなさい。
2 1「よふなじむにかわゆふおぼえし」とあるが、飼い主によくなじんでいる雀の様子が具体的に書かれている部分をすべて抜き出したい。それはどこからどこまでか。該当する部分のはじめと終わりの五字を書き抜いて答えなさい。(句読点も字数に含める。)
3 2「その後は飼はぬなり。」とあるが、それはなぜか。次のア〜オの中から最も適当なものを一つ選びなさい。
ア 飼っていたものがなつきすぎてうるさくなってしまったから。
イ よくなじんでいたという思い出だけを大事にしたかったから。
ウ なじんでいたものを失う悲しみを再び繰り返したくなかったから。
エ それまで飼っていた雀よりも鳶を飼う方に楽しみが変わったから。
オ なじんでいた雀を失って涙がこぼれたと話した人に同情したから。