解答と解説
1 こたえていわく 2 ウ 3 ア
4 (例)他人が両頭の蛇を見て死んでしまうのを心配したから。 5 イ
<現代語訳> 昔、孫叔敖という人が、幼少の時に外へ出て遊んでいると、二つの頭のある蛇を見た。家に帰ったとき、その子の母が、「あなたはどんな理由があって、こんなふうにものも食べないで、泣いているのですか。」と尋ねると、叔敖が答えていうのには、「今日、私は両頭の蛇を見てしまったので、明日まで命がないのです。」と言ったのを、母はもともと思慮深い、賢い人だったので他の事はいっさい聞かず、まず、「その蛇はどこにいるのですか。」と聞いた。叔敖が言うには「両頭の蛇を見たものは必ず死ぬと、日頃から聞いていたので、他の人がまたこの蛇を見ることを恐れて、地面に埋めてきました。」と言う。母は、この言葉を聞いて、「悲しむことはないですよ。あなたは決して死ぬことはないでしょう。その理由は、『人としての隠れた良い行いがあれば、明らかな良い報いが必ずある』という教えがあるから、あなたは死なないばかりか、さらに楚国で出世することでしょう。」という。(この子は)成人して後に、本当に「令尹」という大臣になった。
1 語頭以外の「はひふへほ」は「わいうえお」に直す。へ→え、は→わ。
2 「こたへていはく」の後でその理由を言っている。
3 直後の「叔敖」の返事の最後で「地に埋みける」と言っていることから何を聞いたのか判断できる。
4 「他人のまたこれを見ん事をおそれて」の内容をしっかりとらえる。「他人のことまで心配して」埋めてきたのである。
5 「陽報」は、蛇の報いではなく、叔敖のとった行動に対しての報いである。母の言葉にある、「徳」とは、多くの人のことを考える優れた人格のことを指す。