解答と解説
(一) そろいたる (二) 近江の国の者 (三) 上手に川を渡る馬
(四) (例)「お前がこの馬は『川では鵜のようだ』というので安心して川に入ったら、倒れてしまったぞ。どうしてくれる。」
(五) エ (六) イ
<現代語訳>
近江の国の者が、伯楽のところで馬を一頭買ったが、眼、蹄、たてがみ、そのほか見事に(良いところが)そろっているとほめている時、「どうだ、川を渡るのはよいか」と聞くと、(伯楽は)「もちろんのことです。この馬は川では鵜のようでございます。」と言う。それで「よかった。よかった。」と言って、喜んで帰った。四、五日過ぎて雨が降り、川の水が増えている時、この馬は荷物を(背中に)載せ、川を渡ったが、途中でどっと倒れてしまった。買い主は、すぐに伯楽の所に走って行き、言いたいことを言ったところ、(伯楽は)
「そうであるからこそ、『川では鵜のようでございます。』と申したのです。鵜という鳥は、どれもみな水に入るのです。」と言った。
(一) 語頭以外の「はひふへほ」は「わいうえお」に直す。
(二) 馬についての質問をしているのは、馬を買った人物。
(三) 「川を渡るのはよいか」と聞かれたので、「大丈夫だ」ということを言うために「鵜」をたとえに使って答えたのである。
(四) 実際に川に入ったら「伯楽」のいうようにはならなかったので文句を言ったのである。
(五) 「水を見て入らぬものはなし」は「水を見て入らないものはない」つまり、「みな水に入る」ということ。
(六) 文句を言われても、謝るどころか、馬を「鵜」にたとえたことを別の意味にすりかえて言い訳したところがこの話のおもしろみである。