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国語・古典(京都府公立高校入試問題)

次の文章は「十訓抄」の一節である。場面の説明及び注を参考にしてこれを読み、問い 1〜5 に答えよ。
場面の説明
鎌倉時代の中ごろのこと、宮中に貴族たちが集まって、あれこれと話を交わしている。
 台盤所の前なるa かへでを見て、この木に秋のしるしとおぼえて、初もみぢ一枝、はべりしこそ失せにけれと、内侍の中にたれとかや、いひ出でたるを、頭中将、「b いづかたの枝にか」と、c こずゑを見上げたるに、西枝にこそはべらめと、あるうんかく雲客いひたりけり。d いみじかりけり
 清和、貞観(ぢゃうぐわん)の御時、弘徽殿の前にありける木の、西の方の枝、もみぢはじめたりけるを、
  同じ枝をわきて木の葉の色づくは
  ( A )こそ秋の( B )なりけれ
藤原勝臣
とある古事をe 思ひ出でけるにや。
(「新編日本古典文学全集」による)

@ 台盤所=宮中や貴族の家で、食事の用意をする所。
A 内侍の中にたれとかや=内侍のうちのだれ誰であっただろうか。「内侍」とは宮中の女官の総称。
B 頭中将=この近え衛ふ府(宮中の警備を担当する役所)の中将。
C 雲客=てんじょうびと殿上人(宮中に仕える人)。
D 清和、貞観の御時=清和天皇が治めた時代。「貞観」は平安時代の年号。

E 弘徽殿=宮中にある皇后などの住まい。
F 藤原勝臣=九世紀ごろの歌人。
G 古事=昔の出来事。ここでは古歌のこと。

 

1  文中の a かへで と c こずゑ は歴史的仮名遣いで書かれている。現代仮名遣いに直して、すべて平仮名で書け。
2  文中の b いづかたの枝にか について、次の問い一・二に答えよ。
 一 この部分の解釈として最も適当なものを、次の(ア)〜(エ)から一つ選べ。
(ア) 枝はどこへいったのでしょうか    (イ) どのあたりの枝でしょうか
(ウ) どちらの家にある枝でしょうか    (エ) どちらの枝でもありません
 二 この部分以外に、文中の前半の段落には登場人物の発言が何箇所あるか、数字で答えよ。

 

3 文中の d いみじかりけり は、程度のはなはだしい様子を表現したものである。この表現に込められた作者の心情として最も適当なものを、次の(ア)〜(エ)から一つ選べ。
(ア) ある雲客の反応が素早いうえに気のき利いたものだったので、たいそうほめたたえている。
(イ) ある雲客の反応が個性豊かなひらめきによるものだったので、この上もなく喜んでいる。
(ウ) ある雲客の反応が他人の考え方をまねただけのものだったので、激しく非難している。
(エ) ある雲客の反応が遅いうえにその場に合わないものだったので、ひどく失望している。

 

4  文中の和歌の( A )には漢字一字が入る。本文の内容を参考にして、文中から抜き出せ。また、( B ) に入る語として最も適当なものを、次の(ア)〜(エ)から一つ選べ。
(ア) 朝   (イ) 夕暮れ   (ウ)   はじめ   (エ) 終はり

 

5  文中の e 思ひ出でけるにや について説明したものとして最も適当なものを、次の(ア)〜(エ)から一つ選べ。
(ア) 頭中将が古歌を思い出したのだろうと作者が推測している。
(イ) ある雲客が古歌を思い出したのだろうと頭中将が推測している。
(ウ) 頭中将が古歌を思い出したのだろうとある雲客が推測している。
(エ) ある雲客が古歌を思い出したのだろうと作者が推測している。

 

この高校入試問題の解答と解説



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