社会・近世の歴史(東京都都立高校入試問題)
次の文章を読み,あとの各問に答えよ。
都市は,多くの人間が居住し,さまざまな活動が活発に行われている場所である。都市の多くは,政治や経済の中心地として発達し,(1)工業化の進展などにともなって人口集中が一層進んできた。
世界の都市人口の割合は現在も増加しているが,(2)それぞれの都市における人口の変化のようすは国や地域の経済発展の状況などによって異なる傾向がみられる。都市には,豊かなものや情報,サービスなどを容易に利用できるという利点があるが,過度の人口集中による住宅問題や交通問題などの解決や,限られた土地の有効利用による再整備などの課題がある。このため,(3)歴史的特色などを生かした都市環境の整備を図るなかで再開発を進めることが重要となっている。
〔問1〕 (1)工業化の進展などにともなって人口集中が一層進んできた。とあるが,Iのグラフは,東京都の1895年から1995年までの人口の推移を示したものであり,Uの文章は,Iのグラフ中のア〜エのいずれかの時期における東京都の工業化の進展のようすについて述べたものである。Uの文章で述べた時期に当てはまるのは,グラフ中のア〜エのうちのどれか。
U 戦後の復興によって経済が活気づくなかで,臨海部を中心に機械や金属工業の工場などが増加し,さらに高度経済成長の時期には臨海部の埋立地に重化学工業の工場が建設される一方,郊外でも電気機器や輸送用機器などの工場の建設が進んだ。
〔問2〕 (2)それぞれの都市における人口の変化のようすは国や地域の経済発展の状況などによって異なる傾向がみられる。とあるが,次のグラフは,1970年から1995年までのパリ,ソウル,ジャカルタ,ローマのいずれかの人口の推移を,1970年を100とした指数で表したものである。下の表中のア〜エは,グラフ中のア〜エのそれぞれの都市に関する歴史上のできごとと,グラフに示した期間の人口の変化について述べたものである。ジャカルタに当てはまるのは,下のア〜エのうちのどれか。
ア ・17世紀前半から20世紀前半にかけて,オランダのアジアにおける貿易拠点であった。
・工業化の進展にともなう産業の集中が進み,農村などからの人口流入が続いている。
イ ・14世紀末に都となり政治や文化の中心地として栄え,日本への通信使の出発地となった。
・工業化の進展による人口増加は,地方都市の産業の振興政策などにより減少に転じた。
ウ ・紀元前7世紀に都市国家がつくられてから5世紀まで古代文化の中心地として栄えた。
・経済発展にともなう周辺部の工業化の進展などにより,近年人口は減少傾向にある。
エ ・17世紀後半に国王の権力が強まり,政治や経済,文化の中心地として栄えた。
・産業の集中による過密化のため工場の市外への移転が進み,人口は徐々に減少している。
〔問3〕 (3)歴史的特色などを生かした都市環境の整備を図るなかで再開発を進めることが重要となっている。とあるが,次の文章は,ある都市の開発について述べたものである。次の文章で述べている都市に当てはまるのは,下のア〜エのうちのどれか。
17世紀ごろから世界の政治や経済の中心となり,世界に先がけておこった産業革命の進展により19世紀に人口が急増した。1940年代後半より郊外にニュータウン建設が進められ,現在は港湾施設跡の再開発などが歴史のある街並みとの調和を図りながら進められている。
ア ウィーン イ ロンドン ウ ベルリン エ ワシントン