国語・古典(三重県公立高校入試問題)
次の文章を読んで、あとの各問いに答えなさい。
禽虫のたぐひ、( )を知れるためし、これ多し。
漢武帝、昆明池にあそび給ふに、一つの鯉の鉤を含みて、死なむとするあり。帝(みかど)、(1)これを見て、人をしてときはなち給へり。その夜、帝の夢中に鯉来りて、悦びけり。次の日、池に行幸し給ひけるに、昨日の鯉の、明月の珠を含みて、池の辺に置きて去りぬ。そののち、かの池の釣漁をとどめられけり。
(「十訓抄」より)
(注1)禽虫 鳥や虫。ここは、動物の総称。
(注2)漢武帝 中国の前漢の皇帝。
(注3)昆明池 武帝がつくらせた大きい池。
(注4)明月の珠 暗い夜でも明るい光を発する宝玉。
一 文中の( )に当てはまることばとして、最も適当なものを次の中から一つ選び、その記号を書きなさい。
{ア、恩 イ、機 ウ、哀 エ、我}
二 (1)傍線部分 「これ」とあるが、「これ」の指し示すものを具体的に現代語で書きなさい。
三 本文の内容に合うものとして、最も適当なものを次の中から一つ選び、その記号を書きなさい。
ア、鯉の命を助けた帝が、翌日、夢の中に現れた鯉のことばにしたがい池に行くと、鯉が宝玉をくわえて帰っていった。
イ、鯉の命を助けた帝が、翌日、鯉の様子を見に行かせたところ、宝玉をくわえた鯉がいたのでそれを捕らえさせた。
ウ、帝に命を助けられた鯉が、帝の夢の中に現れたことを後悔し、翌日、帝が池に来たとき、別の鯉に宝玉を届けさせた。
エ、帝に命を助けられた鯉が、帝の夢の中に現れて感謝し、翌日、帝が池に来たとき、宝玉をくわえて岸辺に置いていった。