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国語・古典(新潟県公立高校入試問題)

次のAの文章は、『竹取物語』である。また、Bの文章は、『竹取物語』について述べたものである。この二つの文章を読んで、 一〜六 の問いに答えなさい。

 

A 八月十五日ばかりの月に 1 いでゐて、かぐや姫、 2 いといたく泣きたまふ。人目も、今はつつみたまはず泣きたまふ。これを見て、親どもも、何事ぞと問ひ騒ぐ。かぐや姫、泣く泣くいふ、「さきざきも申さむと思ひしかども、かならず心惑はしたまはむものぞと思ひて、今まで過ごしはべりつるなり。さのみやはとて、うちいではべりぬるぞ。おのが身は、この国の人にもあらず。月の都の人なり。それをなむ、昔の契りありけるによりてなむ、この世界にはまうで来たり ( a ) 。今は、帰るべきになりにければ、この月の十五日に、かの元の国より、迎へに人々まうで来むず。さらずまかりぬべければ、思し嘆かむが悲しきことを、この春より、思ひ嘆きはべるなり」といひて、いみじく泣くを、(以下省略)

 

B かぐや姫は、八月十五夜の一か月まえからしきりに月を見て嘆き悲しむ。月の都へ帰る日が近づいているのだ。「自分の身はこの国の人ではない」と、ついにかぐや姫は告白する。竹取のおきな翁はそれを聞いて、月への帰還を阻止するための軍隊の出動を要請する。
 月の都とはどのような人の住むところなのであろうか。かぐや姫の説明によると、「かの都の人はまことに清らかに美しく、老いるということをしない」ところであるという。不老不死の国である。そして「思うこともないところです」と言う。そんなところへは帰りたくない、いつまでも翁やおばあさんと一緒にいたい、とかぐや姫はこの世への (b) を示す。
 「思うこともないところ」とはどんな感じなのだろう。「思う」は、悩む、物思いをして苦しむ、という意味のように、このままで受け取れる。なるほど、月の都は理想郷だから、「思い」つまり物思いすることは何もない。しかし、それとともに、微妙な意味のずらしが『竹取物語』にはあろう。いよいよ昇天するところにおいて、あま天の羽衣を着せられるやいな否や、かぐや姫は「物思い」がなくなる。それは「翁をいとおしくふびんだとたったいまのいままで思っていた」感情を失い、無表情、無感覚になることだ。いっさいの人間的な感性をなくするところが月の都という理想郷なのだ、という含みがここにはあろう。それは死の世界だ、と言い換えられても仕方がない。逆に言うと、「思う」ことが有る限り、それは人間らしく生きる状態なのである。『竹取物語』はそのような 3 大切な主題をここに言おうとしていると知られる。

 

昔の契り=前世からの定まった運命。

 

一 Aの文章では、人が話した部分には「 」がついているが、それ以外にもう一か所だけ、人が話した部分がある。その部分をAの文章中から抜き出して書きなさい。

 

二 1線部分 の読みを、現代かなづかいで書きなさい。

 

三 2線部分 の「いといたく泣きたまふ」の意味として最も適当なものを、次のア〜エから一つ選び、その符号を書きなさい。
ア 非常に感動してお泣きになる。    イ 非常に立腹してお泣きになる。
ウ たいそう弱々しくお泣きになる。   エ たいそうひどくお泣きになる。

 

四文章中の (a) の中に最もよく当てはまることばを、次のア〜エから一つ選び、その符号を書きなさい。
ア けら   イ けり   ウ ける   エ けれ

 

五 文章中の (b) の中に最もよく当てはまることばを、次のア〜エから一つ選び、その符号を書きなさい。
ア 執着   イ 温情   ウ 憎悪   エ 配慮

 

六 3線部分 の「大切な主題」とは、どのようなことか。Bの文章全体を踏まえて具体的に書きなさい。

 

この高校入試問題の解答と解説



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