国語・古典(愛知県公立高校入試問題)
次の『枕草子』の原文と現代語訳とを読んで、あとの一から四までの問いに答えよ。
〔原文〕
よろづの事よりも@情けあるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ。Aなげのことばなれど、せちに心にふかく入らねど、いとほしきことをば「いとほし。」とも、Bあはれなるをば「げにいかに思ふらむ。」など言ひけるを、伝へて聞きたるは、さし向かひて言ふよりもうれし。いかでこの人に、C思ひ知りけりとも見えにしがな、と常にこそおぼゆれ。
〔現代語訳〕
すべてのことにまさって( D )のあることが、男はもちろんのこと、女もすばらしく思われる。( E )であるけれど、本当に心に深く感じ入るわけではないけれど、気の毒なことには「気の毒だ。」とも言い、かわいそうなことには「本当にどんなにつらいでしょう。」などと言ったのを、人から伝え聞いたのは、面と向かって言うのを聞くよりもうれしいものだ。どうかしてこの人に、( F )とわかってもらいたいものだ、といつも感じられるのである。
一 @ 情け の現代語訳として( D ) にあてはまる最も適当なことばを、次のアからエまでの中から選んで、そのかな符号を書け。
ア 落ち着き イ まじめさ
ウ 礼儀正しさ エ 思いやり
二 A なげのことば の現代語訳として( E )にあてはまる最も適当なことばを、次のアからエまでの中から選んで、そのかな符号を書け。
ア 心のこもった言葉 イ なんでもない言葉
ウ はっきりした言葉 エ 味わいのある言葉
三 B あはれなる は歴史的かなづかいである。これを現代かなづかいになおして、ひらがなで書け。
四 C 思ひ知りけり の現代語訳として( F )にあてはまる最も適当なことばを、次のアからエまでの中から選んで、そのかな符号を書け。
ア ありがたく思っている イ 恐ろしく思っている
ウ つまらなく思っている エ 心苦しく思っている