国語・古典(高知県公立高校入試問題)
次の文章を読み、後の 一〜四 の問いに答えなさい。
ものを引き延ばいて、時1 失ふ者ありけり。人の早苗植うるころ、種ほどこしてけり。2 葉月のころ、早稲の穂の出でたるに、嵐吹きてければ、「花ちりぬ」と嘆くを、あまりにもの急ぎしたまへばこそあれ。わが稲は、このごろ植ゑにしかば、嵐の災ひにもあひはべらずと人にたかぶりけり。人の刈り収むるころ、少しばかり穂の見えたるが、はや霜の置きてければ、みな枯れぬ。「今年はいと早う霜の置きしなり」とて、3 年をのみ罪して、いまだ悟らざりしとなり。
(松平定信「花月草紙」による)
(注) 葉月…陰暦八月。 早稲…はやく成熟するイネ。 たかぶりけり…自慢した。
一 文章中の「ものを引き延ばいて、時失ふ者」の言った言葉に、「 」が付いていないところが一か所ある。その部分の初めと終わりの四字をそれぞれ文章中からそのまま抜き出して書け。
二 文章中の線部1の「失ふ」を現代仮名遣いに直して、線部全部をひらがなで書け。
三 文章中の線部2の「葉月のころ」に「ものを引き延ばいて、時失ふ者」の「稲」は、どのような状態であったか。最も適切なものを、次のア〜エから一つ選び、その記号を書け。
ア 種の状態 イ 早苗の状態 ウ 穂が出た状態 エ 成熟した状態
四 文章中の線部3で「年をのみ罪して、いまだ悟らざりし」と筆者は結論づけているが、「ものを引き延ばいて、時失ふ者」のまちがいの発端となった行動は何か。それを具体的に述べている一文を文章中から探し、その初めの三字を書け。