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国語・古典(佐賀県公立高校入試問題)

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
禅林寺深覚僧正、宇治殿へ消息を奉りて、「法蔵の破れて侍るに、修理してたまはらん」と申されたりければ、家司に仰せつけられて、まづ損色をとらせにつかはしたりければ、僧正、@この由を聞き給ひて、かの使を前に呼び寄せて、「いかにかく不覚におはしますぞ、かくては君の御後見はせさせ給ひなむやと申せ」とありければ、御使帰り参りて、「法蔵の破れたるほども見せられ候はず。ただ御前に召されて、Aかうかうなむ申せ、と侍る」と申しければ、殿も心得ずおぼしけるほどに、御前に年老いたる女房候ひけるが、「あはれ、御腹の内の損じたるを、法蔵とのたまへるにこそ」と申しければ、「さもあるらむ」とて、魚のあはせ、いみじくととのへて、つかはしたりければ、B「材木たまはりて、法蔵の破れ、つくろひ侍りぬ」とぞ申されける。
思ひはかり深きたぐひ、かくのごとし。                      
(『十訓抄』)

 

1 @ この由 とあるが、その内容を説明したものとして最も適当なものを、次のア〜エの中から一つ選び、記号を書きなさい。
ア 宇治殿から僧正の要請を承知したという返事が、僧正に届けられたこと
イ 宇治殿と家司が僧正のところへ失礼をわびにわざわざ出向いてきたこと
ウ 宇治殿が僧正からの依頼を受け、状況を見るため早速使者を送ったこと
エ 宇治殿が僧正に不審を抱き、調査した上で要求を断ろうとしていること
2 A かうかうなむ申せ について、次の各問いに答えなさい。
 (1)「かうかう」を現代仮名遣いで書きなさい。
 (2)「かうかうなむ申せ」とは、どのように申し上げよ、ということか。「かうかう」の指示する部分の最初と最後の五字を抜き出して書きなさい。
3 B 材木たまはりて とあるが、「材木」とはこの場合何のことか。本文中の語句を抜き出して書きなさい。
4 本文の内容に合うものとして最も適当なものを、次のア〜エの中から一つ選び、記号を書きなさい。
ア 僧正が、法蔵の修理という無理な要求をしてきたため、宇治殿は困り果てていたが、要求を拒んで僧正の機嫌を損ねてはかえって不利だという女房の意見を聞き入れ、法蔵の修理を行った。
イ 僧正は、その立場もあって自分の所望する物を法蔵の修理と遠回しに表現したため、宇治殿はその真意をはかりかねていたが、女房の機転によって理解し、僧正の満足を得ることができた。
ウ 僧正が、法蔵の修理と称して弱みにつけこんだり、わかりづらいなぞ謎かけで悩ませたりするため、宇治殿は女房らと相談して僧正に好物を贈ったところ、やっと僧正のいやがらせも収まった。
エ 僧正は、宇治殿が法蔵の修理に消極的なのを聞いて激怒したが、女房の気のき利いたとりなしによって、宇治殿は修理に着手し、謝罪の品まで贈ってきたので、僧正の心も落ち着きを取り戻した。

 

この高校入試問題の解答と解説



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