国語・古典(宮城県公立高校入試問題)
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
さる塩売、四条河原橋の上にて、あやまつて塩俵を河へおとす。@なにが塩のことなれば、皆水になる。かの塩売、かなしさのあまりに、声をあげて泣く。往来の人、大男の泣くを見て、「さてさて、塩の五へう俵や十俵のことにて泣くものか。未練な。」と笑ふ。その時、塩売、はづかしがり、ぬからぬふりにて、A「塩の五俵や十俵ながしたが、さのみかなしうはないが、大勢の魚がのどのかわかうとおもうてかなしい。」というた。
(「当世軽口にがわらひ」による)
〈 注 〉 ぬからぬふりにて ・・・ 泣いていないふりをして さのみ・・・それほど
問一 右の文章中の@「なにが塩のことなれば」の意味として、最も適切なものを、次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
ア なにしろ塩のことなので
イ なにが塩かわからないので
ウ なにより塩は大切なので
エ なにかが塩と違っているので
問二 右の文章中にA「塩の五俵や十俵ながしたが、さのみかなしうはないが、大勢の魚がのどのかわかうとおもうてかなしい。」とありますが、この部分について、次の問いに答えなさい。
(1)「かわかう」を、現代かなづかいに改めなさい。
(2)塩売がこのように言った理由として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選び、記号で答えなさい。
ア 魚への影響がないかどうかを、本気になって心配していたから。
イ 塩を失ってしまったことが、本当につらくて仕方なかったから。
ウ 塩を川へ流してしまった自分の不注意が、恥ずかしかったから。
エ 塩を失ったのを惜しんでいると、人に思われたくなかったから。